

住宅金融公庫が廃止され、郵便局が民営化されるなど、公的な金融機関がどんどん消え去っています。これまでの「公的 VS 民間」とうい図式が完全に崩れ、預金にしても借り入れにしても、数ある民間金融機関のなかで、どこを選べばいいのかが焦点になってきました。
民間金融機関の中では、一般に都市銀行や地方銀行が一番身近な存在かもしれません。住宅ローンを借りるときにも、まずは銀行ローンを検討する人が多いでしょう。企業や個人事業主なら別の選択肢があっても、個人の場合は、それ以外に目を向けることは少ないようです。

でも、銀行以外にも、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンク(農協系金融機関)など、さまざまなセクターが存在します。今回は、そのなかでも最近になって住宅ローンの融資額を伸ばしている労働金庫にスポットを当ててみます。
まず、図表1をごらんください。これは信用金庫、信用組合、労働金庫が融資する住宅ローンの新規貸し出し額の推移を示したものです。信用金庫は増えたり減ったり、波を打って動いていますし、信用組合はほぼ低位安定の状態。その中で、唯一、右肩上がりで融資額を伸ばしているのが労働金庫なのです。なぜ、こうした違いが出てくるのでしょうか。
3つの金融機関はいずれも、株式会社で営利法人の銀行とは違い、会員組織の非営利法人です。一定の地域内にある中小企業や地域住民を相手に営業している点では共通しているといえます。
ただ、その中でも、信用金庫や信用組合は、中小企業や個人事業主などの組織向けに力点が置かれているのに対して、労働金庫は特に、働く人、個人個人へのサポートや利益還元という使命を強く持つ傾向にあります。「福祉金融機関」という別名があることからも、その違いが理解できるのではないでしょうか。
労働金庫の業務は、労働組合や生活協同組合などの団体に加盟している組織、個人が対象になります。ただ最近では、こうした団体に入っていない個人でも、「○○倶楽部」といった親睦組織に加盟することで、預金や融資などのサービスを受けることができるようになりました。おおむね、入会時に1000円程度の会費を支払うだけですので、それほどハードルは高くないでしょう。
労働金庫は全国に13機関あり、「ろうきん」という愛称で親しまれています。前述のように福祉的な観点から事業を行っているため、住宅ローンの金利も、民間金融機関の中では相対的に低い水準にあるのです。
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図表2をご覧ください。これは、首都圏を地盤にする「中央ろうきん」と都市銀行の「三菱東京UFJ銀行のローン金利を比較したものです。固定金利選択型の3年ものを示しています。
新規貸し出しの店頭金利は、三菱東京UFJ銀行が3.25%なのに対して、中央ろうきんは2.65%と、0.6%も低くなっています。
どちらも金利優遇制度があります。固定金利の選択期間を高めに優遇するタイプと、全期間優遇するタイプがありますが、前者では中央ろうきんが1.15%と、三菱東京UFJ銀行より0.7%低い数値。後者の全期間優遇タイプでも0.4%低い水準です(いずれも2007年11月現在の水準で、最優遇金利を適用した場合)。
その他の労働金庫では、地域によって金利のバラツキはありますが、都市銀行よりも低めに設定されているケースがほとんどです。労働金庫体では2.05〜3.05%なのに対して、都市銀行は3.1〜3.25%。
固定金利選択型の10年ものになると、その差が縮小しますが、やはり、労働金庫のほうが相対的に低い水準です。
労働金庫が扱う住宅ローンは、労働組合や生活協同組合、共済組合などに加盟している会員のほうが優遇される傾向があります。たとえば、団体加盟会員は取り扱い手数料が安くなるとか、無料になるケース。あるいは、保証料が無料だったり低くなるケースがあります。
ただ、前述のように他の民間金融機関に比べて低利の融資を扱っている上に、地域に密着し、福祉的な観点で業務を行っていることから、一般の個人についても多くのメリットがありそうです。
また、労働金庫では、住宅ローンの金利が低めに設定されているだけでなく、福祉事業やNPO法人支援などの社会貢献活動も積極的に行っています。個人に対しても、生活資金支援、子育て応援など、さまざまなサポートを実施しているようです。地域によっては、地方自治体と連携した援助にも関わっています。

全国労働金庫協会のHPから各地の「ろうきん」を検索できる
http://all.rokin.or.jp/info/index.html
全13機関のうち、沖縄県労働金庫を除く12機関で、フラット35も扱っており、ローンの選択の幅も広くなっています。意外に身近で頼もしい存在として、住宅ローンを検討する際の選択肢の一つにくわえてみてはいかがでしょうか。
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