金利タイプの選択に異変?今どきの住宅ローン利用者の実態/話題クローズアップ:金利タイプの選択に異変?
景気の先行きが不透明になり、物価も上がり始めるなか、どのように住宅ローンを選択すればいいのでしょうか。誰にでも当てはまる正解はありませんが、何らかの行動の指針が欲しいところ。それを知るには、実際に住宅ローンを借りた人の選択を参考にするのが一つの近道では? そこで、今回は、最近の住宅ローン利用者の動きを分析してみました。
情報提供日/2008年5月14日
変動型を選ぶ人がじわじわ増加。その背景は?

 2007年11月から08年2月にかけて、マイホームを買うために新規の住宅ローンを借りた人、及びこれから借りる予定の人を対象に、住宅金融支援機構が調査したのが『平成19年度 住宅ローン利用に関するアンケート調査(第3回)』。このデータを基に、住宅ローン利用者の動きを紹介しましょう(図1〜6までは、同調査を基に編集したもの)。

図1.金利タイプ別シェアの推移

 代表的な金利タイプを、全期間固定型、固定期間選択型、変動型の3つに分類すると、その利用率の高さを示す順位はここ数年変わりませんでした。もっとも多いのが固定期間選択型でシェアが5〜6割。次いで全期間固定型が3割前後、残りが変動型という順番です。
 これに対して昨年前半は、金利の先高感が強まっていることを受けて、全期間固定型を選ぶ人が増えていました。一時は固定期間選択型と全期間固定型が4割前後で並びそうなほど接近していたのです。

 ところが夏頃からガラリと様相が変わります。減少傾向にあった固定期間選択型が再びシェアを伸ばし始めるのと反比例して全期間固定型がダウン。さらに変動型すら下回る時期も出てきました(図1参照)。
 サブプライムローン問題に端を発した金融不安、株価低迷などから金利の先高感が急速にしぼんできたことや、この先どう動くかが読めないために金利の固定化が却ってリスクになること、などから変動型を選択するケースが増えているのかもしれません。
 全期間固定型と変動型のシェアが頻繁に入れ替わっているグラフから、揺れ動くユーザー心理が垣間見えるようです。

図2.金利タイプ別のシェア2

 ただ、固定期間選択型の中では、短期の固定よりも長期の固定のほうが好まれる傾向が強くなっています(図2参照)。06年頃までは圧倒的に3年固定が多かったのですが、現在は10年固定が主流です。
 20年を超えるほど長期の固定化までは踏み切れない、かといって変動型にするのも不安という人が、ほどほどの固定期間を選んでいる傾向が読みとれます。

金利の「上昇予測」が縮小。大きく変わらない見方が広がる
図3.今後1年間の住宅ローン金利の見通し

 一般ユーザーは、この先の金利動向をどう見ているのでしょうか(図3参照)。1年前は「現状よりも上昇する」と予想するユーザーが半数を超えていましたが、現在は「上昇する」「気にするほどではない」「ほとんど変わらない」という見方が利用者の間では拮抗しています。また以前は皆無に近かった「低下する」という見方も少数派ならが出てきました。まさに不透明感に覆われている状況です。

 これから住宅ローンを利用する予定者は、既に利用している人に較べて「上昇する」と予想している割合が高くなっています。既に借りている人は、借り入れ後の動きから実際の動きを読んでいるのに対して、これから借りる予定の人は将来不安からより慎重に見ているといえるかもしれません。

図4.利用予定者は固定志向が強い

 金利タイプの選択にも、その傾向は表れています。前述のように、実際の利用者の間では完全固定金利のシェアは低くなっていますが、利用予定者の場合は完全固定金利を希望する人が半数以上と非常に高い(図4参照)。安定志向の強さが伺えます。
 事前の計画段階では、全期間固定型で安定的に返済したいと考えるものの、いざ借りる段階になって具体的な試算をすると、金利の低い固定期間選択型に傾いていくといえそうです。

フラット35でも短期返済の比率が高まる

 住宅ローンの返済期間についても、やや変化が見られます。都市銀行やモーゲージバンクなどでは、全期間固定金利のうち返済期間の短いほうを低めの金利に設定した商品を扱っていますので、民間ローンでは20年以内の返済期間で借りるケースも増えてきました。

図5.全期間固定型金利の返済期間

 これに対して、フラット35では返済期間による金利差がありませんでしたから、最長の35年返済を選ぶケースがほとんどでした。ところがフラット35でも、07年10月から返済期間が20年以下の金利を低く設定する取り扱いをスタート。それ以降、短い返済期間で借りる人も増えています(図5参照)。

 民間ローンでは20年超と20年以下が6対4の割合。フラット35では、相変わらず20年超の割合が高いものの、15年超20年以下や10年超20年以下も10数%を占めるまでになりました。特に年収が高く返済能力に余裕がある世帯で、20年以下を選ぶケースが増えています。
 なるべく短期間で完済して支払い利息を減らしたいという意向でしょう。

図6.返済負担率(年間返済額/世帯年収)

 なお、住宅価格の高騰を背景にして、年収に占める年間返済額の割合を意味する「返済負担率」は、やや高まる傾向になっています。安全圏と言われる25%以内が減り、30%を超える部分がやや増加。なかでも危険水域の40%超が2%近くにのぼっています。
 返済負担率は税込み年収で計算しますから、40%超ということは税金や社会保険料を差し引いた手取り収入で割り出すと50%を超える可能性があります。手取りの半分以上が住宅ローンに消えるというのは、かなり苦しい状況です。年収400万円以下では40%超が5%を超えています。

 今後、返済負担率がさらに高まっていくとすれば、ローン破綻の危険性も強まってきます。これから借りる予定の人は、より慎重な資金計画が求められるといえるでしょう。



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