

二世帯住宅に関しては、これまで親世代は同居を希望しても、子ども世代が前向きではないといったイメージがありました。ところが、最近は少しずつ意識が変わっているようです。二世帯住宅に関する情報提供サイトを運営するハイアス・アンド・カンパニーが2007年10月に行ったアンケートによると、20歳代から30歳代の若年層では51.1%が二世帯住宅に前向きという結果が出ています。同居の目的は「経済的メリット」が1位、次いで「親世帯の介護」「家事育児の支援」と続きます。

とはいえ二世帯住宅は、単独世帯に比べると床面積が大きくなり設備も複数必要になるだけに、建築コストや購入価格は高くなります。これから定年を控えた親の世代、まだ収入が十分でない若い子ども世代、それぞれ単独では取得しにくいでしょう。そこで、親子で力を合わせて資金繰りを行える二世帯住宅向けの住宅ローンが注目されているのです。
まず、親子で住む場合、多くの金融機関で認められているのが収入合算です。図1をご覧ください。仮に、年収400万円の子どもと年収500万円の親がいたとします。借り入れ可能額は、単独の場合、子どもも親も3100万円前後しか借りられません。合計しても約6200万円。これに対して、両社の収入を合算すると、700万円以上も多い6940万円まで借り入れ枠が広がります。これによって、1人では難しい大型の住宅も視野に入ってくるでしょう。
二世帯住宅向けの住宅ローンとしては、「親子リレーローン」と「親子ペアローン」の2タイプが代表的です。前者は親が借り入れて、同居する子どもがその債務を受け継ぐというもの。「親子承継償還」とも言われます。
なぜ、こうしたシステムがあるかというと、親の年齢がネックになるからです。一般に、住宅ローンには完済時の年齢制限があり、50〜60歳を超えると長期の返済期間でローンを組めなくなります。たとえば54歳で申し込む場合、完済時に満80歳未満という制限があると、最長返済期間は25年。30代なら35年も可能です。年収500万円の場合の借り入れ可能額は、35年返済なら3850万円、25年返済では3110万円(その他の条件は図1と同様)。同じ借り入れ金額なら、返済期間が短いほうが負担は重くなります。
親子リレーローンでは、親の完済時の年齢制限はなくなり、債務を受け継いだ子どもが80歳までに完済すれば良いことになります。子どもは連帯債務者になります。
「親子ペアローン」のほうは、1棟の二世帯住宅を買うにあたって、親と子で別々に借り入れることができるもの。申し込みは2口になり、住宅ローン控除など、税制優遇措置も親子それぞれが受けられるというわけです。
フラット35では、親子リレー式返済が可能です。従来は親子の同居が条件になっていたり、申し込み本人の共有持ち分割合が2分の1以上といった条件がありましたが、08年4月からこの制限が撤廃されました。
また民間金融機関では、これらのローンをどこでも取り扱っているわけではありません。都市銀行ではみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行、地方銀行や信用金庫でも一部で対応している程度。たとえば、地方銀行の第四銀行や北越銀行では「連帯債務型」という表現で「親子ペアローン」を扱っています。信用金庫では、札幌信金、江差信金、青森信金などが「親子リレーローン」に対応しています。
二世帯住宅用と謳っているローンとしては、図2のりそな銀行と中央三井信託銀行が代表的。りそな銀行のほうは、親子どちらでも申し込みができ、連帯して返済することも、名義の持ち分割合に応じて返済割合を分けることも可能です。親子リレーと親子ペアが合体したようなイメージでしょう。
中央三井信託銀行の申し込み資格は、借り入れ時の年齢が60歳以上の親と同居している子ども。融資対象も一戸建てに限られます。こちらも条件によっては、分割借り入れ、つまり親子ペア型の融資も可能です。
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政府与党は「高齢者の『安心と活力』を強化するための緊急措置」として、高齢者が一緒に住む三世代同居住宅の固定資産税や世帯主の所得税を軽減する方針を、この5月に打ち出しました。いわば公的に二世帯住宅の促進を謳っているといえます。この制度が成立すれば、金融機関も二世帯住宅向けのローンを新規に開発するようになるかもしれません。
今後は、ローン商品の選択肢も広がってくるでしょう。
なお、二世帯住宅には図3、4のようなタイプの違いがあります。このタイプによって、利用できる融資、税制の扱いが異なりますので、注意してください。出資割合と登記の持ち分が一致しない場合、贈与税の問題が生じます。建物プランと資金計画を併せて最適な組み合わせを考えるようにしましょう。
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