

低金利が続くことは、住宅ローンを借りる側にとってはありがたいこと。でも、預金する立場から考えると歓迎できません。特に普通預金は限りなくゼロに近い金利が相変わらず続いています。
そんな普通預金を少しでも活用できるのが「預金連動型住宅ローン」です。2003年に東京スター銀行が国内で初めて取り扱いをスタートさせました。同行に預けている普通預金の残高が多いほど、住宅ローンの金利負担が軽くなるというもので、基本的なしくみは図1の通り。
仮に1000万円の住宅ローンを金利3%で組むとしましょう。普通預金が400万円あるとすると、それと同額のローン元金には金利がかかりません。住宅ローン残高と普通預金との差額、600万円に金利がかかります。その結果、実質的な金利は3%より低くなるのです。
金利負担はどなるのでしょうか。通常の住宅ローンなら年間の利息は30万円(年利として計算を単純化している)。預金連動型住宅ローンの場合は18万円となります。元の住宅ローン1000万円に対する実質的な金利は、1.8%相当になる計算です。
預金を200万円増やして600万円にすると、実質金利は1.2%になります。つまり200万円分に対する金利負担が軽くなるため、200万円を繰り上げ返済したのと同じ効果があるわけです。
普通預金の残高が住宅ローン残高と同じ1000万円になれば実質金利は0%。まったく金利がかからないことになります。ローン残高と同額の預金があるなら、全額繰り上げ返済してしまえば借金自体がなくなるので、借りる意味があるのか疑問に思うかもしれませんね。

ただ、実際に繰り上げ返済してしまうと手元に現金が残りません。いざというときの余裕資金を手元に残しておきたい人にとって、預金連動型住宅ローンを借りるメリットがあるわけです。
団体信用生命保険の保険料は別途負担ですが、万が一の場合、ローンは保険料で肩代わりして完済したうえに、普通預金も丸々残ります。
また、住宅ローン控除を効果的に受けるメリットもあります。住宅ローン控除はローン残高に応じて、一定割合を所得税から控除するもの。繰り上げ返済によってローン残高が減ると控除額も少なくなってしまいます。預金連動型住宅ローンなら、ローン残高を減らさず、住宅ローン控除を最大限に活用できるというわけです。
なお、このローンは、もともとの資金に余裕があって多額の普通預金を入れられる人や、借り入れ後も積極的に預金を増やしていける人に最大のメリットがあります。ただ、普通預金には金利がつきませんから、手持ち資金を高利回りの金融商品で運用したり、債券や株式などに投資をしたい人には向かないかもしれません。
東京スター銀行と同様の商品を、外資系金融機関のHSBC(香港上海銀行)でも採用しています。ただしローンの返済方法は元金均等返済です。
また複数の地方銀行でも、預金連動型住宅ローンを扱い始めています。たとえば、関西アーバン銀行のケース(図3参照)。
普通預金の残高に相当する住宅ローンの元金については、実質的な金利負担が0.5%水準になるように、本来の金利との差額分を3カ月ごとにキャッシュバックするというしくみです。名称も「預金連動型住宅ローン『金利キャッシュバック付き』」となっています。
東京スター銀行のように、普通預金分の金利がゼロになるわけではありませんが、登録できる普通預金として、ローンを借り入れる本人以外の家族の分を最大5口まで設定できるのがポイント。本人の預金が少ない場合でも、贈与税の問題を気にせずに親からサポートできるというわけです。
ただし、家族の分は預金残高の50%換算した分がカウントされます。
たとえば、図1と同様に1000万円を金利3%で借りる場合。本人名義の預金が200万円、家族名義が600万円あるとします。このうち住宅ローンに連動できるのは、本人の預金100%と家族分の50%=300万円で、合計500万円。この部分の金利が0.5%になるわけです。実質金利を計算すると1.75%になります。
北日本銀行の「預金連動型住宅ローン『新・家族愛』」も、ほぼ同じしくみ。ただし、普通預金と連動する部分の実質金利負担が0.2%と低く、また、6カ月ごとのキャッシュバックとなっています。
荘内銀行の「キャッシュバック付き預金連動型住宅ローン」の場合、実質金利負担は「普通預金金利+口座管理相当分0.5%」。普通預金金利が0.2%なら、0.7%です。また、預金連動の対象になるのは住宅ローン残高の50%が限度となっています。
それぞれ少しずつしくみが違いますので、事務手数料や諸費用も含めて、トータルの負担がどうなるか、きちんとシミュレーションした上で選択することをお勧めします。
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