


定借は、1992年の借地借家法改正で新設されたもので、契約期間が限られていて更新のない借地権のこと。住宅向けとしては、契約期間が50年以上で建物を取り壊して土地を返還する「一般定期借地権」と、同30年以上で土地所有者に建物の買い取り請求を行える「建物譲渡特約付き定期借地権」の2種類があります。現在、分譲されている住宅では「一般定期借地権」がほとんどです。
定借付き住宅のメリットは、なんといっても土地代がかからないこと。そのため、建物代を含めた総額が、土地所有権の場合に比べて6〜7割程度になるといわれています。
取得資金が少なくて済む上に、土地や建物の面積が広いのが一般的。たとえば2007年までに供給された定借付き一戸建ての平均敷地面積は約223平米。土地所有権の平均である約128平米に比べて、100平米近くも広くなっています。建物の延べ床面積も2割以上大きめです(図1参照)。
もちろん土地に関しては、まったく費用がかからないわけではありません。まず月額の地代がかかります。地代の平均水準は、一戸建てが3万円前後、マンションは1.4万円弱です。
さらに、定借を設定するにあたっての一時金があります。種類は、契約終了後に無利息で返還される「保証金」と、返還されない「権利金」が代表的。一戸建ての場合は、90%以上が保証金方式。保証金の水準は、土地所有権の価格に対して20%前後が多いようです。定借付き住宅の平均像は図2の通り。
マンションの場合は、保証金方式が40%、権利金方式が35%、併用が20%程度です(いずれも国土交通省「定期借地権実態調査」のデータ)。最近では、地代を最初に一括して支払いながら、中途解約した場合には未経過分が返還される「前払賃料方式」も登場しています。
定借付き住宅の供給は、2000年前後をピークに減少していましたが、ここ1〜2年は持ち直してきました。都心部での大型マンションなど、話題の物件も登場しています。
定借付き住宅向けのローンについては、以前は旧・住宅金融公庫などの公的融資やフラット35くらいしかありませんでしたが、最近は民間ローンも少しずつ増えてきました。
都市銀行では、三井住友銀行の「定借住宅ローン」が知られています。地方銀行では、スルガ銀行「スーパーホームローン」、関西アーバン銀行「定期借地権付き住宅ローン」、北国銀行「北國定期借地権付住宅ローン」、中国銀行「ちゅうぎん定期借地権付住宅ローン」、神奈川銀行「かんそうしん保証付定期借地権付住宅ローン」など。その他、JAや楽天モーゲージでも扱っています。
融資条件は、各銀行によって微妙に異なります。インターネットのホームページ上で公開されている情報を見る限り、通常の住宅ローンの枠組みと変わらないケースも少なくありません。
ただ、通常の住宅ローンに比べると、やや審査が厳しくなる傾向はあるかもしれません。たとえば、神奈川銀行では、利用者の収入基準が、通常の住宅ローンでは300万円以上なのに対して定借は500万円以上。北國銀行では同じく、通常350万円に対して定借400万円以上、という具合。
しかも、年収に対して年間返済額が占める割合を表す「ローン返済率」という基準がありますが、これを計算する場合、ローン返済額に年間の地代を加えた金額を基準にすることが多いようです。

たとえば、保証金を含めた総額3500万円の定借付き住宅で、そのうち8割に当たる2800万円を借り入れるとしましょう。年利3%、30年返済では、毎月返済額は約11万8000円。地代が3万円(首都圏の平均水準)とすると、月々の負担は15万円弱。これは3500万円借り入れた時の返済額と同じ水準です。そして、ローン返済率の基準が30%以内の場合、年収が593万円以上ないと借りられません。
通常の住宅ローンなら、ローン返済額だけで計算するため、年収は473万円以上あれば借り入れ可能です。
また通常の住宅ローンでは、購入価格に対する融資の割合は90〜100%。一方、定借では必要資金(建物価格+土地の一時金)に対して70〜80%が限度になっています。
購入する際の諸費用についても、通常の住宅ローンに比べて定借付き住宅ローンは高めになります。
最近では、通常の住宅ローンでは保証料なしのケースも増えていますが、定借では保証料ありが一般的。保証料の水準については、通常の住宅ローンと変わらないケースもありますが、いくつかの地方銀行では通常よりも高めに設定されています。ある銀行では、融資額1000万円当たり20年返済で30万円以上。仮に3000万円借りると、保証料だけで100万円近くになります。
ちなみに、フラット35の場合は定借向けでも保証料はかかりません。

借り入れる際の事務手数料なども多めに設定されているケースが少なくありません。通常の住宅ローンでは、ローンを申し込む際の手数料は3〜5万円程度。これに対して、図4のように、トータルで15万円前後になるケースがあります。定借住宅の場合、まだまだ物件供給数が少なく、融資実績の蓄積が浅いため、物件の調査や手続きに手間やコストがかかることが原因として考えられます。
このように定借向けの住宅ローンは、審査がやや厳しめで初期費用が多くなることに注意してください。したがって、自己資金を多めに用意するなど、通常の住宅ローンよりも余裕のある資金計画を立てることが必要になりそうです。
とはいえ、定借付き住宅は、地代を含めても月々の支払い負担は、土地所有権の住宅に比べて軽くなることは事実。土地に対する税金もかかりません。最初のハードルを超えれば、継続的な支払いは抑えられます。前述のように、土地や建物の面積が広いなど住空間としての魅力は大きいので、選択肢の一つとして十分に検討に値するのではないでしょうか。
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