「十文字先生が答える“住まいの税金Q&A”」第4回

契約するときにかかる税金―印紙税

マイホームを購入するときの売買契約、建築を依頼するときの工事請負契約、あるいは、住宅ローンを借りるときの金銭消費貸借契約。さまざまな契約がありますが、そこでかかわってくるのが印紙税です。
Q1.契約書を作るときにかかる印紙代って、何ですか?
売買契約のときに不動産会社から「印紙代として1万5000円持参してください」といわれました。領収書に貼る200円の印紙くらいしか知らなかったんですけど、ずいぶん高いですね。何のために支払うんですか?(東京/R・Bさん)。
 
A1.印紙税です。契約書に記載された金額によって税額が変わります。
十文字先生 「売買契約書などに貼る収入印紙のことですね。それは国に支払う印紙税です。印紙税法という法律に定められた課税文書をつくるときには、1通ごとに印紙税を払わなければなりません。契約書に必要な金額の収入印紙を貼って、消印することで支払います。
  不動産に関係する契約書としては、マイホームを購入するときの売買契約、建築を依頼するときの工事請負契約、住宅ローンを借りるときの金銭消費貸借契約――いわゆるローン契約ですね――などがあります。税額は、下表のように、契約の種類と契約書に記載された金額によって違います。

 たとえば3000万円のマンションを買った場合の印紙税は1万5000円。3000万円の住宅ローンを組んだ場合は2万円です」
不動産の取引にかかわる印紙税
十文字先生   十文字先生 「全ての契約に印紙税がかかるわけではありません。国や地方公共団体、その他、税法で非課税団体に指定されている機関との契約書は非課税です。住宅金融公庫から借りた場合も非課税ですね。ただ、注意してほしいのは、親子や知人同士で借用書を取り交わした場合でも、印紙税はかかること。
 その他、仲介会社と結ぶ媒介契約書、建物の賃貸借契約書は印紙税がかかりません。土地の場合は、契約終了後に返還されない権利金・礼金・更新料を記載した借地権設定契約書には課税されます。ただし、返還される保証金、地代のみの場合は非課税です。
  また、不動産の場合はまだ少ないと思いますが、電子メールなどでやりとりした電子文書の場合は、すべて非課税。今後、電子化が進んでくると、印紙税が関係ない契約も増えてくるかもしれませんね」
 
Q2.契約書に印紙を貼らないと、どうなるんですか? 節約する方法はありますか?
契約書に印紙を貼っているかどうかは当事者同士しかわからないわけですから、印紙を貼らなくてもわからないんじゃないでしょうか。それと、うまく税額を節約する方法はありますか。(大阪/W・Tさん)。
 
契約自体は成立しますが、税法上の罰則があります。
十文字先生 「契約書に収入印紙を貼っていなくても、契約の効力は失われません。ただし、課税文書に印紙を貼っていないことが税務調査などでわかった場合は、本来の印紙税額の3倍に相当する追徴税(過怠税)がかかります。税額が足りないときは、足りない分の3倍です。
 自己申告した場合でも1.1倍の追徴。印紙を貼っていても、消印をしていないときは印紙税額と同額の追徴があります。
 
 故意に印紙を貼らなかった場合は「1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金(または併科)」という罰則がありますので、注意してください。なお、払いすぎた場合は還付を受けることもできます」
十文字先生   十文字先生 「節約する方法も、ないわけではありません。
  売買契約などの場合、契約書を2通作って、売り主と買い主がそれぞれ1通ずつ持つのが一般的ですね。契約書1通ごとに印紙税がかかります。これに対して、契約書を1通しか作らず、1通分の印紙税を節約する不動産会社もいるようです。印紙代は買い主と売り主が折半します。契約書の原本は買い主、コピーを売り主が持つのが一般的。住宅ローンを申し込むときには売買契約書の原本を提示する必要がありますから、買い主がコピーしか持っていないと不都合が生じます。
  なお、コピーした副本に署名押印してしまうと、それ自体が正式な契約書とみなされて印紙を貼らなければいけません。
 
 金額を分割することで合法的に印紙税を節約する方法もあります。たとえば工事請負契約の場合、工事代金が1000万円なら印紙税は「500万円超1000万円以下=1万円」です。これに対して「300万円超500万円以下=2000円」ですから、500万円の契約書を2通にすれば「2000円×2通=4000円」となります。
  また、消費税込みの金額が1008万円の場合、その金額だけを記載すると印紙税は1万5000円。「本体価格960万円、消費税48万円」と分けて記載されている場合は、印紙税は1万円で済みます。
  税額が変わる境目の契約金額の場合は、記載の仕方に注意しましょう」
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