


「省エネ改修促進税制」と「住宅ローン控除」の内容を簡単に復習しておきましょう。
「省エネ改修促進税制」は、返済期間が5年以上のリフォームローンを借りて、30万円を超える省エネ改修工事をした場合に、ローン残高の一定割合を所得税から控除するという特例です。昨年度に創設された「バリアフリー改修促進税制」と仕組みはほぼ同じ。ただ、「バリアフリー改修促進税制」を利用できるのは50歳以上の人だけでしたが、「省エネ促進税制」には年齢制限はありません。30〜40代の若い人でも利用可能です。
一方、「住宅ローン控除」もリフォームローンを借りて改修工事をしたときに所得税の控除が受けられますが、こちらはローンの返済期間が10年以上で、工事金額が100万円を超える場合に適用されます。この条件に合うケースで、「省エネ改修促進税制」との選択が必要になります。
また、「住宅ローン控除」は昨年度から控除期間が10年のタイプと15年のタイプの2つになりました。したがって、最大3つのタイプから選ばなければならないことになります。
これらの特例ごとに控除額が変わる理由は、控除対象になる金額や控除率、控除期間が異なるため。詳細は図1をご覧ください。
なお、リフォームローンは住宅ローンを返済中でも無担保で借りられる商品が増えています。やや金利は高くなりますが、返済期間も10年、15年といった長期に設定されていますから、大きな負担にならずに利用できるでしょう。

どちらを使えばトクになるのかに対する答は、利用する人の収入状況や借入金額によって変わります。まず40歳の人で、年収700万円と400万円の場合を考えてみましょう(会社員で、収入は変化しないものとします。家族は夫婦と子ども2人です)。
200万円を10年返済で借り入れて省エネ改修工事をしたケースでは、控除額の上限(総額)は、住宅ローン控除の期間10年が10万7000円、同じく期間15年が7万1400円。省エネ改修促進税制は16万7600円です。
実際の控除額も年収による違いはほとんどありません。このように金額が低い工事では、省エネ改修促進税制を利用したほうが約1.5〜2倍もトクになります。
省エネ改修促進税制の場合、200万円までの一定の省エネ改修工事に対する控除率が2%と、住宅ローン控除の当初の控除率よりも高いからです。期間10年(1%)の場合の2倍、期間15年(0.6%)の3倍以上。この控除率の高さをフルに活用できるためといえます。

これに対して、他の大がかりな工事を伴う1000万円規模のリフォームでは状況が異なります。
返済期間15年で借りた場合、控除額の上限は、住宅ローン控除の期間10年が約65万円、同じく期間15年が約52万円、省エネ改修促進税制が約55万円です。それほど大きな差はありません。省エネ改修促進税制では、200万円を超える工事の控除率は1%に減ってしまうため、金額が大きいほど住宅ローン控除との差が縮まります。
年収による違いも出てきます。年収700万円の場合、控除期間が長いこともあって、省エネ改修促進税制よりも住宅ローン控除を利用したほうがトクになります。なかでも期間10年を使った場合が最高の金額です(図1参照)。
一方、年収400万円の場合はまた状況が変わります。もともと支払っている所得税額が少ないため、実際に控除される金額が減ってしまうからです。
やはり住宅ローン控除のほうがトクになります。ただし、年収700万円の場合と違い、期間10年よりも期間15年を選択したほうが控除額は大きくなるのです。年収400万円では支払い税額が少ないため、控除率の低い状態が長く続くほうがトータルの控除額が増えるといえます。
次に、50代になってから利用する場合について考えてみます。家族構成は夫婦2人だけ、60歳で定年して年金暮らしになることを前提に試算してみました。
リフォーム金額が200万円の場合は、やはり控除率の高い省エネ改修促進税制がトクになると考えて良さそうです。
これに対して、金額が1000万円を超える大きな工事ではどうでしょうか。50歳の場合は、年収に関わらず、住宅ローン控除の期間10年が一番トクです。ただ2番目が微妙。住宅ローン控除の期間15年と省エネ改修促進税制の選択では、年収によって結果が分かれます。年収が400万円の場合は前者がトク、年収700万円の場合は後者がトクとなります(図3参照)。
若いうちは控除期間が長いほうがトクになりましたが、年齢が進むと答が変わってくることがわかります。
さらに55歳の場合は、年収に関わらず、省エネ改修促進税制を使うのが一番トクとなります。定年まで5年に迫っているため、期間10年や期間15年の住宅ローン控除は、どちらも長く設定された控除期間を使い切れないからです。
なお、60歳以降も収入が減らず、一定の収入を維持して所得税を支払っている場合には、住宅ローン控除が有利になるケースもあるかもしれません。
このように、住宅ローン控除と省エネ改修促進税制の比較する場合、借入金額や収入によって結果が変わってきます。専門家に相談するなどして、個別の状況に応じて実際に試算してから進めることをお勧めします。
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