インタビュー【川北英貴氏】1

 

 
住宅ローンの審査では、収入だけを調べるわけではありません。えっ?! そんなところもチェックされていたの? さて、審査の実態はいかに。どうすれば通りやすくなるのか。銀行の融資実務を長く担当していた住宅ローンコンサルタント、川北氏に伺いました!
  川北英貴氏  
川北英貴(かわきたひでき)
【プロフィール】
住宅ローンコンサルタント。(株)フィナンシャル・インスティチュート代表取締役。1974年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、97年地方銀行入行、主に住宅ローン・法人融資を手がける。退社後04年10月に大阪市にて現会社を設立。銀行勤務の経験から、住宅ローンの審査を通りやすくするノウハウやローンの組み方のアドバイスを手がける。また、住宅ローン審査をテーマにしたものでは、おそらく日本初となるメールマガジン「住宅ローンを組みたい人のためのメールマガジン」
http://www.mag2.com/m/0000145113.htm)を発行、住宅ローン希望者向けに、情報提供を行っている。
 
 
--川北さんは銀行在籍中の8年間に900件もの事業融資を手がけ、住宅ローンについても関わりが深かったそうですが、ローン審査では何が問題になるのですか?
川北 審査で問われるのは「モノとヒト」、つまり購入する物件の担保価値と、申し込む人の評価ですね。人の評価でもっとも重視されるのは返済能力ですが、それは収入が高いか低いか、というだけではありません。30年なり35年の長期間にわたって、ずっと返していけるか、つまり収入が安定しているかどうかが問題。そこで、まずポイントになるのが職業や勤務先です。
  川北英貴氏
--自営業者は、やっぱり難しいんですか?
川北 自営業だから即ダメというわけではなくて、チェック項目が増えるんですね。個人事業主なら確定申告関係の書類、法人なら決算書を、それぞれ過去2〜3年分提出することを求められますから。黒字で貸借対照表に問題なければ大丈夫です。節税のために赤字決算にしているケースや、黒字でも債務超過になっていると厳しくなります。
 住宅ローンを借りる予定があるなら、しばらく節税は控えて財務内容をよくしておいたほうがいいでしょう。あくまでも帳簿上で判断されますので。
 
無名の中小企業勤務の場合は、会社案内を持参すべし
--会社員の中で違いはありますか?
川北 やはり上場企業が一番借りやすいでしょう。ただ、上場企業でも、業績が悪化してると報道されるなど、良くない情報が出ている会社は厳しく見られますよ。逆に、非上場でもサントリーや竹中工務店のように名前の通った優良企業なら評価は高い。
  --無名の中小企業の場合は?
川北 帝国データバンクのような企業の信用調査を行う機関で調べます。そういうところでも情報が取れない会社は評価が下がる。他の銀行に回ってくださいとか、やんわり断られることもあるかもしれません。
--中小企業でも業績の良い会社はありますけど、それでも厳しいですか?
川北 銀行の見方次第ですね。住宅ローンの審査が厳しいところと緩くしているところがありますから。
--審査を通りやすくする方法はありませんか。
川北 銀行に借り入れの相談に行った時に、会社案内や業績の資料を持っていくのもテクニックの一つ。申し込みの必要書類には入っていませんが、進んで提出すると印象が変わってくる可能性があるからです。
 実際の審査は関連の保証会社がやるんですが、内部の実務の流れというのがありましてね。一番下の担当者が書類を作って、稟議みたいなカタチでどんどん上に行って最終的に決済権限者が決済する。そこで判断をするときに、そういう資料が付いていると、表だって意識しなくても、潜在意識のなかで評価をよくするという面がありますね。知らない会社よりも、銀行員は安心するからです。
 ただし、業績が良い場合、という条件付きです。資料を出すとかえってマイナスになる場合もあります。また、取引関係のある銀行に頼むとスムーズに行きやすいという面もありますが、あまり業績が良くない実態を知られていると厳しく評価されますからね。そういう場合は、むしろ取引関係のない銀行に業績の出ていない会社案内だけを出すほうがいいかもしれません。
 
申し込み時の面談で評価が左右されることも
--企業規模や収入レベルが同じ会社員でも業種によって評価が分かれることはありますか?
川北 それは関係ないと思いますよ。業種というよりも、やはり収入が安定しているかどうかでしょう。たとえば外資系企業などで、前年の所得は高くても、成果報酬で年によって金額の開きが大きいとか、年俸制で安定していないとか、転職を頻繁にしているような場合はマイナスに見られます。
--転職の回数とかも調べられるんですか?
川北 過去の履歴まで直接は確認できませんが、年齢と勤続年数で推測はできますよね。たとえば、40歳で勤続年数が3年しかなければ転職して間もないので、「転職は何度めですか」とさりげなく聞くとか。
 
--その他に、審査で差が出る要素はありますか?
川北 本当はよくないんでしょうけども、男性よりも女性のほうが厳しく見られるのは確かでしょう。理由は、やはり長期に渡って安定して返済していけるかが問題になるからです。この先もずっと勤めるのかが疑問だと審査で落とされやすくなります。そういう場合は、将来の人生設計をきちんと話せば、銀行員も安心すると思いますね。実は、ローンの申し込みを受け付ける際に、数字に表れない印象とかライフプランについての考え方などを、社内向けのコメント欄に書くことがあるんですよ。
--申し込みの面談をしているときに様子を見られているんですか?
川北 ええ、ですから、あまりチャラチャラした格好でいくと、「生活が派手、やや疑問あり」とか書かれることもある。勤務先や収入が十分なら問題ないのですが、ぎりぎりの場合は、さっき言った深層心理の部分でマイナスに見られて最終的な判断で蹴られてしまうかもしれません。なるべく好印象になるようにしたほうが無難ですね。
 
 
(次回は、返済能力を左右する個人信用情報、そして借り入れ後の対策について聞きます)
 
コラム/住宅ローン手続きの流れ
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