インタビュー 浅井秀一氏(2)

 

金利選びのキモ。リスクを回避せよ

 
 
浅井 秀一 (あさい しゅういち)
【プロフィール】
有限会社ストックアンドフロー代表取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP)。早稲田大学在学中に相続と法人(同族会社)の清算を体験し、昭和63年に学生初のFP資格取得者となる。卒業後、独立系FP会社を経て現職。おもに個人に対するファイナンシャルプランを作成する傍ら、雑誌・新聞等への原稿の執筆や、講演会などで活躍中。「住宅ローンは、いま借り換え・繰上げ返済しなさい」(ダイヤモンド社)等の著書がある。
 
--ローン選びでは、長期固定タイプか変動タイプかが大きなテーマになると思いますが。
浅井 金利状況によって変動と固定のどちらがいいか判断が難しいときには半々ずつ借りるという選択肢もありですが、今は上昇に向かうという状況が完全にはっきりしています。返済期間が20年を超えるなら長期固定でしょう。
 資産運用においてはリスクをとっていいと思っていますが、住宅ローンは期間も長いし、金額も大きいため、影響が大きい。生活に密着する住宅ローンはリスクをとるべきではないと考えます。もしリスクをとるなら、金利上昇によってどれだけ返済負担が増えるのか、具体的にシミュレーションをすること。それができないなら、リスクをとるべきではありません。
 
 
--ここ数年の水準からいえば、長期固定の金利も上がってしまいました。
浅井 ここ数年が異常でしたからね。6%を超えたら固定を借りたいとは思いませんが、4%までなら固定を借りたいです。
 たしかに変動や短期の固定金利選択型より金利が高くなりますので、返済期間が20年以内、百歩譲って25年以内なら、10年固定を考えてもいいでしょう。現在の水準で、かつ返済期間が短ければ、10年たった段階で残債はかなり減っており、金利上昇による負担増はそれほど大きなものにはなりません。返済期間の半分以上を固定にできればリスクはない、ということです。
 もし11年目から金利がかなり大きく上がるようなことがあれば、そのときはインフレですから実質的には借金が目減りする、ということもいえます。
 
 
--変動や短期の固定金利選択型を利用してもいいケース、というのはありますか。
浅井 長期固定中心で、一部変動タイプを利用する、というのもありでしょう。金利上昇によって返済額がいくら増えるかは借入額や返済期間によって大きく異なりますから、いくら借りるかが重要です。少額で短期ならリスクは小さいが、金額が大きく、期間が長ければリスクは大きくなります。金利動向に注意し、繰り上げ返済して早く返すなどの方法でリスクをコントロールする必要があるでしょう。
 共働き期間中にある程度の金額を早く返したいという部分は短期固定、残りは60歳まで放っておくとして長期固定など、目的にあわせてローンを組み合わせるのもいい方法だと思います。
 
--公庫、年金は申込時の金利が適用されますが、民間は実行時の金利が適用になります。少し怖い気がしますが。
浅井 怖いですね。でもこれが自然な形です。金利上昇に向かっているのは確かですから、入居が1年先、というような場合は公庫や年金を勧めます。民間は適用金利が読めず、いまの状況下、未完成の新築で民間を使うのはバクチに近いものがあります。返済能力を超えてしまい、キャンセルになる人も出てくる恐れもある。不動産会社はそういう危険のない人を選別するようになるでしょう。
 入居前、ローン契約を結ぶ前にそのローンがいいかをもう一度考えてみるといいですね。今の金利が絶対じゃないということを念頭におき、いくらの金利まで大丈夫かを計算しておく必要がありますね。
 
コラム1.借入額や返済期間によって金利上昇リスクはどう変わる?
もしも、3年後に金利が1%アップすると… (2.25%→3.25%)
 
--民間ローンでは、金利優遇キャンペーンが盛んです。
浅井 金利優遇は適用期間をしっかり認識するべきです。一定期間大きく優遇し、その後、優遇幅を小さくするタイプの場合、一定期間を過ぎると負担が重くなります。全期間一定幅で優遇するタイプもあり、どちらが有利かは返済期間などによって異なりますから、じっくり選びたいですね。
 民間融資を利用する際には、諸費用の比較も大事です。最近では金利に団体信用生命保険料が含まれている場合と、含まれていない場合があり、これらを同じ土俵で比べても意味がありません。またローン保証料が不要なローンもあります。ローンを分けすぎると諸費用がかさみ、1000万円以下の借り入れでは諸費用負担に負ける可能性もあるので注意が必要です。
 
 
コラム2.金利優遇はどちらのタイプが有利?
店頭金利3.2%の固定金利選択型5年ものの場合
 
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